平成23年6月の税制改正により、課税売上割合が94%以上のときに、仕入税額の全額控除を求められる、いわゆる『95%ルール』の適用事業者の範囲が、課税売上高5億円以下の事業者に限定されました。
これにより、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から、課税売上高が5億円を超える事業者は、課税売上割合が100%でない限り『個別対応方式』又は『一括比例方式』を採用して控除対象仕入税額の計算を行うこととなりました。
個別対応方式を採用する場合、課税期間中の課税仕入れを
①課税売上にのみ要するもの
②非課税売上のみに要するもの
③共通に要するもの
の3つに区分して①+③×課税売上割合により計算します。
一括比例対応方式を採用する場合、課税期間中の課税仕入れに係る消費税×課税売上割合で計算します。
個別対応方式を採用する場合の3つの区分をすることは、課税売上にのみに要するものを厳密に判断すると直接の原価以外の経費について③共通に要するものとなるものが大半を占めることとなり、経費と売上との関係により経理処理が異なる事となります。 実際の営業活動を経理で判断する事は難しく混乱をきたすことが予想されます。 課税売上高5億円以上の企業については、慣れるまでは、一括比例方式の方が簡単と思いますが、土地の売却等がある事業年度では、一括比例配分方式を採用すると納税額が過大になる差異が大きくなると思われるので、その時に苦労するよりも今から準備して個別対応方式にも対応した経理を行っていくことをお勧めします。